以前、知的障がい者のTという女性の話をしたことがあります。
20年程前の学生時代、僕はTのことを障がい者だからという理由だけで見下しており、今になって思えばそのときの自分は最低で、Tに対しても申し訳ないことをしていたと思っています。
ですが、マッチングアプリをやっていたとき、なんの因果か、このTとマッチングしてしまったことがありまして……。
今回、いつもに増して差別的な内容になってますが、ご了承ください。
Tとマッチングした経緯
貴重な地元でのマッチングだったが……
まず、僕の住んでる北海道特有のマッチングアプリ事情について説明しなければいけません。それは、あまりにも対象となる範囲が広すぎるということです。
北海道の面積を本州に置き換えると、東京から和歌山辺りまでとほぼ同等の大きさになります。これだけの広さの場所に住んでる人間が、北海道の人間として雑に一括りにされてしまうのです。
これにより同じ北海道の人とマッチングしているのに、場合によっては県を1つや2つくらい跨ぐような距離でのマッチングが平然と発生します。札幌や室蘭程度なら1時間半程度で行けるからまだマシ。旭川辺りだと2時間半、函館や稚内になると4、5時間と、会うだけでハードルが高くなる距離の人とマッチングすることがザラにあります。
ある程度メッセージで仲良くなったのに「函館に住んでます!」なんて言われたら「会えるワケねーだろ!」と頭を抱えてしまうようなことがよくありました。上のリンクで例えると、静岡の人が同じ静岡の人とやり取りしてると思ったら「和歌山に住んでます!」なんて言われるようなものだと思えば、その雑さが分かるかと思います。
なのでできれば地元の女性とマッチングしたいという気持ちがありました。しかし元々の絶対数が少ない上、いいねを送ってもマッチングすることが中々できません。そんな中で、のん(仮名)という地元の女性とマッチングできたときは、よっしゃあ! と思いましたね。
のんという女性の正体
のんとメッセージをしてみると、漫画やゲームの趣味が近かったこともあり、すぐに仲良くなることができました。早い段階で食事に誘うこともできたし、会うところまで行くのも難しくはなさそうでした。元カノのアヤにフラれた直後でしたが、フラれたダメージを思ったより早く取り返せそうなことに、内心ではウキウキしていたのです。
ですがのんとラインを交換したとき、ある違和感に気づきました。登録されていた名前が、かつて同級生だった、Tという知的障がい者の女性と同じ名前だったのです。
「まさか……」と思い、のんに名字を尋ねてみたら、僕と同じ苗字だったことが分かりました。僕はTと同じ苗字だったことで「お前あいつと結婚してんだろ?」と周りから馬鹿にされ、忸怩たる思いをしていたことがあるのです。
段々と震えが止まらなくなり、恐る恐る出身校を尋ねてみたら、僕と同じ学校でした。僕の嫌な予感が的中し、のんの正体がTだったことに気づかされたのです。
この瞬間、直前まで抱いてたウキウキした気持ちは一瞬で消し飛び、僕は頭を抱えました。そして若干の後ろめたさはあったものの、僕は逃げるように、のんをブロックしたのです。
何故Tから逃げたのか
身も蓋もない最低な言い方をしますが、僕は知的障がい者のブスであるTと付き合うなどゴメンだと思ってしまったのです。
Tに対して知的障がい者だからという理由だけで不当な評価をしていたのが最低な行為だったのは事実。そんなことをしていた自分自身が最低な人間だったことは分かっています。メッセージを見る限り、Tはちゃんと仕事もしてるし、家族との仲も良好なようでした。恐らく彼女なりに頑張って生きているのでしょう。
それでも、僕はTと付き合うかもしれないという事実など到底受け入れられませんでした。僕の中でのTの印象は、未だに20年前の知的障がい者のブスのまま。付き合いたいと思えるような女性ではなかったのです。
「お前Tと結婚してんだろ?(笑)」「金払ってあいつとセ〇クスしたんだろ?(笑)」と散々馬鹿にされて悔しい思いをしたのに、もしTと付き合ってしまえば、そうしたレッテルが事実になってしまうというのも受け入れがたいことでした。あのとき自分を馬鹿にした奴らから、一生笑い者にされてしまうということが、恐ろしくて仕方なかったのです。
彼らの世界は止まっており、変わらず私は「臭い女に触ったからいじめられるべき人間」だった。私が触れた食べ物は誰も手を付けられなかった。えんがちょー。マジかよ。あれから人間として1ミリも成長してないなんて、いくらなんでもバカじゃないの? ああ、この人たちと関わりたくない。
Tに対して申し訳ないことをしたなどとほざいておきながら、いざTが目の前に現れたら結局また差別的な見方をして逃げ出した僕は、結局20年前からなにも考えをアップデートできず、人間としてまるで成長していなかったのかもしれません。
知的障がい者のブスでも、男を食い物にできる現実
Tとマッチングして分かったことは、マッチングアプリは知的障がい者のブスであっても、男に対して圧倒的に優位に立ち回れるという事実です。Tは顔写真もなくプロフィールにもなにも書いていませんでした。それでも60人近くいいねを集めていて、そこそこの人気を持っていたのです。
顔写真もプロフィールもないから、とにかくいいねを集めたい僕のような人間や、なりふり構ってられず誰でもいいからマッチングしたい人間からのいいねが集まりやすかったのかもしれません。ですが裏を返せば、Tと付き合いたい、セ〇クスしたいと思うような人間がそれだけ多くいたとも考えられるのです。
これはTの人となりを知らなかったからで、実際にTの人物像や見た目を知ってしまえばそんな幻想は消え去ってしまうかもしれません。しかし、やり方次第では知的障がい者のブスであっても、こうして自分をブランディング化して、男の支持を集めることも、マッチングアプリでは容易なのです。
そしてもし、Tが男を利用することに躊躇のない狡猾な女性だったら、自分の下に集まった非モテを利用し、食事を奢らせたり、金を貢がせるといった、パパ活や頂き女子のような行為をして男を食い物にすることも可能だったのでは? と思うのです。
勿論これは想像でしかありませんが、マッチングアプリは知的障がいを持った人間でも利用できる使い易さで、使い方次第ではリアルでは弱者でも捕食者として非モテを食い物にできる、恐ろしい道具であり魔境なのではないか? と、その恐ろしさを改めて痛感させられたのでした。
まとめ 結局俺が一番悪いのか
「Tとマッチングした経緯」「何故Tから逃げたのか」「知的障がい者のブスでも、男を食い物にできる現実」という3つのテーマでお話しさせて頂きました。
散々Tのことを知的障がい者のブスとディスりましたが、当時の僕は勉強ダメ、運動ダメ、性格悪くてブサイクで「なんでそんな良いところ1つもないダメ人間になっちゃったの?」と揶揄されるレベルでした。学校でも下から2、3番目辺りのゴミみたいな人間で、周りから知的障がい者と付き合うのがお似合いとバカにされても仕方ないレベルだったと思います。
そして今でも、家が太かったから辛うじて生きていられるレベルの、発達障害持ち低スぺ人間というどうしようもない底辺なのには変わりありません。悪いのはTではなく、何年経ってもまるで成長できていない自分自身なのでしょうかね。
……いや、そもそもからして、Tを叩き棒にして俺を散々コケにしやがった、言い出しっぺのタケカワ(実名)とサカモト(実名)が一番悪いんじゃねーか!
許さねえ……許さねえぞ……切り刻んでやるぞ、タケカワとサカモト……!